- 国民年金を滞納した場合、財産や給料が差し押さえられるのか?
- 国民年金を滞納した場合の督促の流れとは?
- 国民年金の滞納で取り立てでは電話がかかってくるのか?
など気になることがあると思います。
そこでこの記事では国民年金の滞納について詳しく説明していきます。
1.国民年金を滞納した場合、財産や給料は差し押さえられるのか?
将来年金をもらう必要がないから、国民年金は払わないと考えている人もいます。
将来年金をもらわなければいいだけだから、国民年金を滞納しても、財産や給料は差し押さえられないと思っている人もいます。
実際のところどうなのでしょうか?
結論を言いますと、長期間滞納を続けていると最終的には財産や給料を差し押さえられることになります。
国民年金法に滞納処分ができることが記載されています。
第九十六条 保険料その他この法律の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は、期限を指定して、これを督促することができる。
2 前項の規定によつて督促をしようとするときは、厚生労働大臣は、納付義務者に対して、督促状を発する。
3 前項の督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して十日以上を経過した日でなければならない。
4 厚生労働大臣は、第一項の規定による督促を受けた者がその指定の期限までに保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しないときは、国税滞納処分の例によつてこれを処分し、又は滞納者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村に対して、その処分を請求することができる。
5 市町村は、前項の規定による処分の請求を受けたときは、市町村税の例によつてこれを処分することができる。この場合においては、厚生労働大臣は、徴収金の百分の四に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。
6 前二項の規定による処分によつて受け入れた金額を保険料に充当する場合においては、さきに経過した月の保険料から順次これに充当し、一箇月の保険料の額に満たない端数は、納付義務者に交付するものとする。
(延滞金)
引用:国民年金法
・年々厳しくなっている差し押さえの条件
昔は年金事務所はそれほど強制徴収に力を入れておらず、滞納していても差し押さえになることはめったにありませんでした。
しかし、2013年ごろから強制徴収に力を入れ始め、条件を満たした場合に督促状を送り、強制徴収の手続きを進めるようになりました。
差し押さえられる条件は所得の金額と滞納期間で決まります。
年度 | 条件 |
平成25年度 | 年間所得が400万円以上+滞納期間が13月以上 |
平成26年度 | 年間所得が400万円以上+滞納期間が13月以上 |
平成27年度 | 年間所得が400万円以上+滞納期間が7月以上 |
平成28年度 | 年間所得が350万円以上+滞納期間が7月以上 |
平成29年度 | 年間所得が300万円以上〜350万円未満+滞納期間が13月以上 年間所得が350万円以上+滞納期間が7月以上 |
平成30年度 | 年間所得が300万円以上+滞納期間が7月以上 |
この基準を満たしている場合は年金事務所は強制徴収の手続きを行うようになります。
推移を見ても分かるように今後も強制徴収の範囲は広がる可能性が高いです。
今は強制徴収の対象の人でなくても将来的には条件を満たしてしまう可能性があります。
・どんな財産が差し押さえの対象となるのか?
国民年金を滞納して差し押さえられる可能性があるのは、差押禁止財産以外のものとなります。
差押禁止財産は最低限度の生活を送るために必要なものです。
例:食料や食器、料理道具、家具、家電製品など
こういったもの以外では差押の対象となっていますが、実際に差し押さえられやすいものとしては以下のようになっています。
- 銀行口座の預金
- 給料
- 自動車やバイク
- 家やマンションや土地などの不動産
現金として回収できる銀行口座や給料が一番差し押さえられやすいです。
一定以上預金がある場合には、差し押さえられてしまう可能性が高いです。
頑張って貯めた貯金で近いうちに使う必要があるという場合でも問答無用で差し押さえられてしまうので、そうならないように早めに対処することをおすすめします。
・年金は差し押さえ禁止じゃないのか?
もしかしたら年金は差し押さえ禁止という話を聞いたことがあるかもしれません。
確かに年金は差し押さえ禁止の財産ですが、それは借金や税金を滞納した場合の差し押さえの時に差し押さえられないという話です。
年金を滞納した場合の差し押さえとは話が違います。
年金を払うのは国民の義務なので、払わない場合には差し押さえという形で徴収されます。
2.国民年金を滞納した場合の差し押さえまでの流れとは?
国民年金を滞納した場合、最終的には差し押さえられてしまいます。
しかし、いきなり差し押さえが実行されるわけではなく、いくつかの段階を踏んでから差し押さえということになります。
最終段階に進む前にきちんと相談したり、分割払いでも支払うようにすれば、差し押さえられずに済みます。
・ステップ1:特別催告状が届く
国民年金を滞納したときにまず送られてくるのが「特別催告状」です。
特別催告状の中には、未納となっている国民年金保険料を支払うように書かれています。
国民年金を滞納してもすぐに特別催告状が届くわけではありません。
半年以上滞納していると、送られてくるケースが多いようです。
ただ最近の傾向として強制徴収に力を入れているので、もっと早い段階で送られてくるようになるかもしれません。
納付書をなくしてしまったという場合でも、新しい納付書がついているので、その納付書を使ってコンビニ払いや銀行などで支払うことができます。
・ステップ2:最終催告状が届く
特別催告状が届いても年金の支払いをしない場合には、最終催告状が届きます。
特別催告状が2~3回送られてきてから、最終催告状が送られてくるケースが多いようです。
特別催告状と最終催告状では何が違うのかと言いますと「定められた期間内に納付しない場合は滞納処分を行う」と書かれている点です。
滞納処分が始まると、延滞金が加算されて、通常よりも多くの金額を支払わなければならなくなります。
基本的に一括請求されますが、年金事務所の窓口に行って相談をすれば、分割払いに変更することもできます。
・ステップ3:督促状が届く
最終催告状が届いても支払いがない場合には督促状が送られてきます。
支払いがない場合には差し押さえを実行するというような内容が含まれています。
・ステップ4:差押予告通知書が届く
督促状が送られてきても支払いがない場合には、差押予告通知が届きます。
これは差し押さえ前の最終警告となっており、期限内に支払いがない場合には、差押が実行されます。
差し押さえられると困る場合には、期限内に支払いを行うようにしましょう。
3.電話や訪問での取り立てや督促はあるのか?
基本的に年金事務所からは書類による取り立てがメインです。
しかし、督促状の段階から、民間業者による催促が行われるケースがあります。
この場合、電話や訪問などによって催促されることがあります。
民間業者の催促で注意したいのは、あくまで支払いを促す内容であるということです。
何か個人情報を聞き出してくる場合は、個人情報が悪用される可能性があるので、決して教えないようにしましょう。
年金事務所の職員が年金の受給額や預金口座の番号を聞くことはありません。
電話や訪問が来た場合でも、「滞納している国民年金の支払いをしてください。」「支払えない場合は窓口に相談しに行ってみてください」というような内容に限られます。
4.国民年金の滞納で差し押さえを防ぐ方法とは?
国民年金を滞納している場合、最終的には差し押さえとなりますが、防ぐためには滞納金を支払うしかありません。
支払いを無視して逃げ続けていても、支払いから逃げることはできません。
ただ中には一括で支払うことが難しい状態にある人もいると思います。
その場合には、管轄の年金事務所に出向いて相談しに行けば、分割払いや減額・免除の相談に乗ってもらえます。
分割払いでも支払う意思さえ見せておけば、財産が差し押さえらえることはありません。
いずれにしても、黙って滞納していると強硬手段をとってくるので、きちんと対応して支払うようにしましょう。
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