住宅ローンを組むときに、頭金を支払うかどうかで悩む人は多いです。
頭金ありとなしでは、金利や住宅ローン控除、審査への影響など様々な影響があります。
そこで住宅ローンの頭金ありとなしで何がどう違ってくるのかを比較してみました。
もし頭金の支払いについて悩んでいるなら、是非最後まで読んでください。
1.住宅ローンの頭金の金額の割合の目安は?
住宅ローンの頭金ありとなしを考える前に、頭金を払う場合どれくらい払えばいいのかが気になるところです。
厳密に頭金をいくら払えばいいというのは決まっていません。
なので、ここでは一般的な頭金の平均額を紹介します。
購入資金 | 頭金 | 頭金の割合 | |
注文住宅 | 4194万円 | 1298万円 | 30.9% |
分譲戸建住宅 | 3810万円 | 1027万円 | 26.9% |
分譲マンション | 4423万円 | 1729万円 | 39.1% |
中古戸建住宅 | 2693万円 | 1157万円 | 43.0% |
中古マンション | 2656万円 | 1293万円 | 48.7% |
このデータを見れば分かるように頭金の金額としては1000万円を超えることが多いようです。
割合としては2~5割程度となります。
頭金は購入金額の1~2割程度という意見もありますが、実際にはそれよりも多くの頭金を支払っている人が多いです。
2.住宅ローンは頭金ありと頭金なし(フルローン)の比較
住宅ローンを借りるとき必ずしも頭金は必要ではありません。
頭金なしのふフルローンで住宅ローンを組むこともできます。
ただ頭金ありとなしどっちの方がいいのかと悩む人も少なくありません。
そこで頭金ありの場合となしの場合で様々な観点から比較していきます。
・支払う利息の金額はどれくらい変わるのか?
頭金を支払うことで借入金額を減らす目的としては、支払う利息を減らしたいからだと思います。
ただ頭金の有無によってどれくらい利息に差が出るのか分からないかと思います。
そこで3000万円の物件、金利1%、返済期間25年の場合の利息の違いをシミュレーションしてみました。
頭金 | 毎月の返済額 | 返済額 (頭金は含まない) |
利息 |
なし | 113,062円 | 33,918,521円 | 3,918,521円 |
300万円 | 101,756円 | 30,526,669円 | 3,526,669円 |
600万円 | 90,449円 | 27,134,817円 | 3,134,817円 |
900万円 | 79,143円 | 23,742,965円 | 2,742,965円 |
1200万円 | 67,837円 | 20,351,113円 | 2,351,113円 |
1500万円 | 56,531円 | 16,959,260円 | 1,959,260円 |
このように頭金を払えばその分だけ利息も減らせます。
もしもの時のためにお金を取っておいて、あとになってから繰り上げ返済すればいいと考える人もいるかもしれません。
ただ利息は「借入金額×金利」で求められます。
借入金額を始めに少なくしておいた方が利息を減らす効果が高いわけです。
あとになってから繰り上げ返済を行うよりも、初めに頭金を支払ったほうが効果的です。
・頭金の支払い金額によっては金利が安くなる場合も
住宅ローンの金利は年0.4~0.8%みたいに幅があることが多いです。
安い金利と高い金利のどちらが適用されるのかは、頭金の金額によって変わることがあります。
多くの頭金を払うことで貸し倒れのリスクが低くなるため、銀行としては安い金利でも十分に利益が出せるからです。
実際にARUHI住宅ローンでは頭金の金額によって契約できるプランが変わってきます。
団信加入 | 団信不加入 | |
ARUHI スーパーフラット8 (頭金2割以上) |
年1.100% | 年0.820% |
ARUHI スーパーフラット9 (頭金1割以上) |
年1.150% | 年0.870% |
ARUHI フラット35 | 年1.890% | 年1.690% |
※2018年11月の情報となるので、最新の金利は公式ページで確認してください。
厳密にいくら頭金は払えば安い金利が適用されるのかは、銀行の審査によって決まります。
頭金を支払えるからと言って、安い金利が適用されるわけではないので、住宅ローンを選ぶときには注意してください。
・住宅ローン控除がお得になる場合とならない場合がある
フルローンを推奨する人が言うのが「住宅ローン控除がある」というものです。
住宅ローン控除とは住宅ローンの年末残高の1%を所得税・住民税から引く制度です。
その期間は10年間となっています。
仮に年0.8%の金利で借りられた場合、その差2%分がお得になるわけです。
フルローンの方が住宅ローン控除の金額が大きくなるからお得だという考え方です。
しかし、必ずしもフルローンの方が住宅ローン控除で得するとは限りません。
そもそも住宅ローン控除額以上に税金を払っていなければ、控除の意味がありません。
例えば、金利0.8%で3000万円を借りた場合、1年目の利息は24万円です。
それに対しては、1年間で100万円返済した場合の住宅ローン控除は29万円となります。
その差、5万円お得になるというわけです。
ただ注意したいのは、住民税と所得税の合計が29万円以下だった場合、控除されない金額が発生します。
住民税と所得税の合計が20万円だった場合、20万円までしか控除されません。
この場合だと、逆に5万円損することになります。
なので、住宅ローン控除を利用するなら住民税と所得税の金額を把握しておく必要があります。
また住宅ローンの金利が1%を超える場合には、住宅ローン控除を利用してもマイナスになります。
住宅ローン控除目的でむやみに借入金額は増やさないほうがいいです。
・審査にはどれくらい影響するのか?
頭金ありとなしでは、頭金があるほうが審査は通りやすくなります。
基本的に住宅ローンを組む場合、家やマンションが担保になります。
頭金を支払っていれば、家やマンションの価値が借入金よりも上回ることもあります。
例えば、3000万円で購入した家の場合、買った時点である程度資産価値は目減りします。
仮に2500万円だとした場合、1000万円の頭金を支払っていれば、借入金額は2000万円になります。
つまり、2000万円を借りる際に2500万円の担保がついている状態になるわけです。
- 2500万円の担保で3000万円を借りる
- 2500万円の担保で2000万円を借りる
どちらの方が審査に通りやすいかと言えば、当然後者となります。
万が一借主が返済できなくなっても、物件を売ることで借金を回収できるからです。
3.頭金ありとなしのメリット・デメリットの比較
ここまでで頭金ありとなしの場合の住宅ローンについて比較をしてきました。
それについて以下に簡単にまとめました。
頭金あり | 頭金なし(フルローン) | |
利息金額 | 安くなる | 高くなる |
毎月の返済額 | 安くなる | 高くなる |
住宅ローン控除 | 少なくなる | 多くなる |
金利 | 安くなる | 高くなる |
審査 | 通りやすくなる | 厳しい |
これを見ても分かるように全体的に頭金を払ったほうがいいことが分かります。
だから実際に1000万円以上もの頭金を払っている人が多いんです。
頭金なしでも住宅ローンは組めますが、できれば頭金を用意してから組んだほうがいいです。